本記事をお読みの医師の皆様は「転科」って考えたことありますか。
転科はみんながみんな考えるようなことではないでしょうが、何人かに一人は考えたことあるんじゃないかと思います。
実は、意外と多いと思います。
かくいう自分も、転科について考えたことのある医師の一人です。
自分は元々内科なんですが、最近ちらっと皮膚科への転科について考えるようになりました。
というわけで今回は、
・そもそもなぜ転科を考え始めたのか
・転科によるメリットとデメリットはどうなのか?
・導き出した結論と、今後医師としてどう生きていくのか?
という点について書きたいと思います。
転科をしようにも身近に転科経験者がおらず、
『転科って実際どうなの?』って話を聞く機会がない!
って方もいると思います。
そんなわけで、ちょっとでも転科を検討している先生の参考にればと思い、いち内科医が皮膚科への転科を検討する上での思考過程を記しておきます。
それでは、はじまりはじまり。
そもそも、内科から皮膚科への転科を考え始めた背景
まずは、僕が
内科からの転科を考え始めるに至った経緯
をご説明しておきます。
ちなみに、自分は元々は転科なんて全く考えていませんでしたし、考える時が来るとさえ思っていませんでした。
内科のとある専門科で一生やっていく、そう思っていました。
僕は元々は他の記事でも書いているように、大学で医局に所属していたんですが、ある時
これは完全に奴隷だし、自分の進むべき道は今進んでいるこの道の延長線上にはないな。
って悟りを開きまして、大学を辞めました。
でそうこうしてたら、あの、例の世界的ウイルス感染症の波がやってきまして、
内科診療怖いお
ってなりました。
自分の専門科を診療していく上でも感染リスクはありますし、病院に勤めていれば、発熱外来や感染者の病棟管理などの業務も高確率ですることになります。
医師でも感染リスクを懸念してウイルス感染症診療に極力携わりたくない、って人は多いと思います。
むしろ、医師だからこそ、その怖さを十分に知っているから、って側面もあると思いますし。
で、厄介なのが、いつになったら例のウイルス感染症が落ち着くのかわからない、という点です。
まあ、ワクチンもできたり、ウイルスが比較的重症化しにくい株に変異してきたりと、初期の頃よりは多少は落ち着いてはきているのかもしれませんが、それでもまだ「もう大丈夫」って状態とは程遠い状態かなと思います。
感染の波はむこう1-2年で概ね落ち着いてしまうのか、はたまたもっともっとかかるのか、こればっかりは誰にもわかりません。
そんな先行き不透明な中、僕の場合、
内科以外の科で、ウイルスへの感染リスクの低い科はないか?
って考え始めたのが、転科を考え始めたきっかけといえばきっかけです。
あんまり他人に言いたいようなことではないので、他にこのようなことを誰かが言っているのを耳や目にする機会はほぼありませんが、実は結構いるんじゃないかと思ってます。実際のところ、どうなんでしょうかね。
看護師さんが病院を物凄い勢いで辞めてる、って話はよく聞きますがね。
ではなぜ皮膚科か?皮膚科のメリットとデメリットについて考える
続いて、
「内科診療をできればしたくない内科医」というとんちのような存在が、
転科先として検討し始めたのがなぜ皮膚科だったのか、ということをご説明したいと思います。
理由はいくつかありますが、
①例のウイルスへの感染リスクが高くない
②内科よりは診断→治療までが早そう
③イメージでは、数を診る代わりに、患者さん一人ひとりへの診療の負担が大きくなさそう
④需要がある。美容皮膚科のマーケットが大きくなってきている中で、その波に乗れそう
⑤皮膚科が診れると、プライマリケアとして強い
ざっとこんな感じです。
もちろん、一番大きいのは①ですが。
以下に、それぞれの点について、僕の検討過程を記録しておきます。
①例のウイルスへの感染リスクが高くない
皮膚科の場合、内科に比べると、感染リスクは低いと思います。
まあ、これはほぼ間違いないといっていいと思います。
もちろん、皮膚科であっても、主訴は皮膚症状で来たけど、実は例のウイルス感染症も持っていた、というケースは全然あるでしょうけど、まあ、普通に考えて、内科よりは感染リスクは低いと思います。
また、皮膚科でも顔の症状や皮膚病変を診る際は患者さんにマスクを外してもらう必要があるので、そこも注意は必要ですが、
まあ、相手がマスクを外した状態でたくさん話をするわけでもないので、
この点についても、めちゃくちゃ気にしなくちゃいけない、ってことはないかな、と個人的には思います。
②内科よりは診断→治療までが早そう
③イメージでは、数を診る代わりに、患者さん一人ひとりへの診療の負担が大きくなさそう
まあ、これも例外がいっっっくらでもあることは重々承知の上ですが、
皮膚科の場合、あくまで一般的な傾向で言えば、パッと診て診断がつく、という傾向があると思います。
内科だと鑑別を上げて、検査をして、というプロセスを丁寧に行う傾向にあると思います。
あくまで一般論ですが。
さらに、治療方針を決めてからの患者さんへの説明も、「内科よりはあっさりめでいいのかな?」ということも頭をよぎりましたが、実際のところは全然そんなことはないようです。
知り合いの皮膚科医や皮膚科で働く看護師などに話を聞くと、
いや、先生めっちゃ説明してるよ。
数も診ないといけないし、医師がしないといけないことも多いし、説明することも多いし、めっちゃ大変だよ。
とのことでした。
まあ、そうだよね。
どういう疾患で、
どういう治療をしていくのか、
どうなったらまた来てもらった方がいいのか、
ってことは何科であっても説明しないといけないわけで、皮膚科でも当然そうですよね。
まあ、一件あたりの説明の時間はそれほど長くないとしても、(保険の皮膚科だと)かなりの数を診ないといけないので、トータルでの説明の時間は長そう、ということが見込まれます。
ってことで、「内科よりは診断→治療までが早そう」というこの点については、一部正しいのかもしれないけど、「じゃあ負担が少ないか?」っていう観点でいうとそれは別の話で、単なる非専門科医師の妄想であろう、という考えに至りました。
④需要がある。美容皮膚科のマーケットが大きくなってきている中で、その波に乗れそう
まあ、これはあると思います。
皮膚科に転科する上で、
保険診療の皮膚科なのか、
自由診療の美容皮膚科なのか、
はたまたその両方なのか、
という点については後述しますけれども、
美容皮膚科をすることになっても、
保険の皮膚科の知識や経験は必ずや活きるであろう、ということは言えると思います。
一方で、美容皮膚科のことはある程度わかるけれども、保険診療の範囲になった途端に何もわからない、だと厳しい場面はたくさんあるだろうな、ってことが想定されるため、
皮膚科に転科するのであれば、
いずれにしても保険の皮膚科は必要だろうな、
と思われました。
ただ、美容皮膚科もマーケットが大きくはなってきてはいますが、
自由診療がゆえに、
すでにレッドオーシャンの様相を呈しており、
「需要伸びてるから良さそう」ってほど甘いものだとは思いません。
何でも黎明期は先行者利益で「やってりゃうまくいく」状態が一定期間は続くでしょうが、
参入者が増えてくれば、生き残れるのは本物のみとなるでしょう。
そんな中「ちょっと転科してみました」程度のテンションだと余裕で淘汰されるでしょうから、やるならガチでいかないと厳しいんじゃないの、ということも考えられました。
⑤皮膚科が診れると、プライマリケアとして強い
これもあります。
内科で外来をしていても、
病棟管理をしていても、
訪問診療をしていても、
皮膚科領域の診療が必要になることはよくあります。
それに、実際に非常勤先やスポットバイトなどで勤務する際に、ゴリゴリの皮膚科じゃなくても皮膚科診療を求められる機会は結構あって、そんな時に、皮膚科も一通り対応できると、強いです。
なので、仮に最終的には本格的に転科しなかったとしても、皮膚科の知識と経験は必ずや患者さんと自らを助けてくれるだろうな、ってのもあります。
保険の皮膚科か自由診療の美容皮膚科か、はたまた両方か
ここで、内科医が皮膚科に転科するとした場合、
保険の皮膚科が良いのか、
自由診療の美容皮膚科が良いのか、
はたまた両方を扱うようなところがいいのか、
という点について考えてみます。
まあ、人の数だけ考え方はあると思うので、正解はありませんが、自分の場合は、もし皮膚科に転科するなら、「保険もある程度診れるが、美容メイン」って形にするだろうな、と思いました。
まあ、
保険の皮膚科はやはり単価が高いわけではない
→必然的に数を診なきゃいけない傾向にある
→外来中は細々と忙しい
ってことになると思うので、
自分がしたいような診療じゃないな、
って感じました。
ってことで、単価の高い美容メインである程度じっくり患者さんと時間を取れて、保険の領域にも対応できる、っていう形がいいかなと思ったわけです。
結論:結局内科から皮膚科への転科はやめた。ただ…
ここまでああだこうだ考えてきましたが、
結論としては、自分は、
内科から皮膚科への正式な転科は辞めることにしました。
一番は、いくら感染リスクが高くないといっても、
数を診なきゃいけなくて、忙しいのは嫌だ
というのが強かったです。
皮膚科だと医師がしなければならない小手術や処置、施術も結構多いですから。
小手術とか全然したいと思わなかったので、自分は根っからの内科的思考を持つ人間なんだな、ってことを再認識しました。
また、これもまたどこか別の記事で出すと思いますが、現在自分は医師としての仕事以外に個人事業もやって、
できるだけ
「その場に居なければいけないような働き方」を減らしていきたい、
自由に働けるようになりたい、
という想いが大前提としてある中で、今より忙しくて、さらにその場に拘束される度合いが増えるような結果につながる転科はなしだな、そう考えました。
ただ、正式には皮膚科に転科しなくても、皮膚科の知識は日常診療でも活かすことができると思うので、一通りのインプット+日々アップデートはしていこうと思っています。
最後に:転科を考えている先生へ
本記事では、
僕が内科から皮膚科への転科を考えたきっかけ、
検討時の思考過程、
そして結論
を記録として残してきました。
今後どう働いていくか、どう生きていくかなんてものに正解なんてありません。
人の数だけ考え方があります。
転科は医師人生にとって大きな決断なので、焦らずじっくり考えたり、調べたりしてみてください。
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・
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