往診・訪問診療のバイトは医師に人気のバイトの一つです。
世界でも類を見ないほどに超高齢化していく日本において、
国としても病院からできるだけ施設や在宅へのシフトを促したいという思惑もあるようですので、
往診、訪問診療の需要は底堅いと言えるでしょう。
早いうちから経験を積んでおくと、後々選択肢が広がって良いと思います。
今回は、往診・訪問診療バイトに興味がある先生に向けて、仕事内容や時給・給与水準、気になる点などを体験談を交えつつ、紹介していきたいと思います。
往診・訪問診療バイトの仕事内容
施設か在宅か
まず、訪問する先は大きく分けて、施設か在宅のどちらかになります。
施設
施設であれば、(定期非常勤の場合)一つの施設に入所されている方をまとめて複数診る、ということになるケースが多いです。
私が以前行っていたところでは、一つの施設の入所者の方を1コマで13-18人程度、月2回(二週間に一回)診ておりました。
また、別の施設だと5名だけの所もありました。
※スポット勤務の場合は、要請があったところに赴いて、有事の対応をすることが多いと思います。
在宅
在宅の場合は、一件一件回っていく形になります。
移動に時間がかかりますので、施設の方を診る場合よりも数は少なくなりますが、どちらかというとお一人お一人に(施設に比べて)それなりに時間を要するケースが多いです。
仕事内容
仕事の内容について、定期非常勤で施設に訪問診療していた時のことを例に、ご紹介していきます。
仕事の内容としては、一般内科的な診療ができればとりあえずはOKです。
その他にも皮膚科や整形外科、泌尿器科的な知識もあるとより働きやすいです。
※胃瘻の管理や(クリニックの対応範囲によりますが)担癌患者さんの対応もできると、尚よしといったところだと思います。
と言っても、専門的な対応まではできなくても、プライマリケアができれば大丈夫です。
対応してみて、専門的な治療が必要そうであれば、紹介して、近隣の病院を受診をしてもらうこともあります。
※案件によっては、「神経内科の難病を診れる医師募集」のように、専門性が求められる案件もありますが、数としては少ないです。
仕事の流れとしては、
という感じです。
順番に解説していきます。
①事前の申し送り
施設専属の看護師より、担当患者さんについて、前回訪問から今回までの経過や、変わったことがなかったかの申し送りを受けます。
申し送り事項を頭に入れて、回診へ向かいます。
②問診、経過の把握
患者さんのお部屋に着いたら、体調や症状について経過を聞いたり、何か確認したいことがあれば問診をしていきます。
③身体診察
患者さんのご病状等に応じて、必要な診察を行なっていきます。
④クロージング
そして、診察が終わったら、今の状態についてコメントをして終わりです。
何も変わりなければそのままですし、処方を変更する必要があれば、適宜患者さんの考えなども聞きながら決めていきます。
一人の患者さんが終わったら、上記①〜④を繰り返しつつ、回診していきます。
⑤処方や方針の決定
私が行っていた施設の場合、すべての患者さんの診察が終わったら、別室で看護師、担当の薬局の薬剤師同席のもと、処方箋を発行していきます。
(前回の内容で処方箋は印刷されたものを同行しているクリニックの事務の方が用意してくださっており、必要があれば修正して、これまた同席している薬剤師の方に渡す、という形です)
今思えば、処方薬について、何かあれば同席されている薬剤師の方に確認することもできるので、恵まれた環境だったと思います。
⑥カルテ記載・書類作成
クリニックに戻ってから、診療した時のメモも参考にしながら、カルテ記載を行います。
その他、主治医意見書などの記載をすることもあります。
病状説明をすることも
担当患者さんの状態が不安定だったり、何かあった時には、ご家族を呼んで病状説明をすることもあります。
オンコール待機や夜間の出動について
そして医師のQOLに対して大きく関与してくるのがこのオンコール待機や夜間の出動の有無です。
私が以前行っていたところは
オンコールや夜間の出動は基本的にはなく、
院長がコール対応、必要なら院長が指示出し・出動という体制でした。
ですが、たまに院長が予定を空けたい時は(年2-3回)、事前に「いついつオンコールいける?」と相談があり、自分が行ける時は当番に入っていました。
その場合ちなみに、コールはまず事務の方が出て、私に連絡が来る、という形です。
当番の日はコールがなければそのまま何もなく終了です。
もちろん、オンコール当番として給与は出ます。
私の場合、12時間で2万円、出動したら+1万円という形でした。
数回しかオンコールはやっていないですが、呼ばれないことの方が多かったので良かったです。
スポットで別の勤務先で訪問診療バイトをした時に、夜間にお看取りに呼ばれたこともありました。
私の行っていたところは上記のような体制でしたが、他には、
・ファーストコールは看護師が受けて、必要なら医師に指示出し依頼 or 出動要請
・ファーストコールを医師(自分)が受けて、対応。必要なら出動。
といった体制のところもあります。
また、「オンコール当番をやるかやらないか」を自分で選べるところもあります。
オンコール当番をやる場合はその分給与が上乗せされるような契約のところです。
私は仕事とプライベートをきっちり分けたいので、オンコールのないところを選んでいました。
時間外のオンコールや出動の体制については、クリニックによって様々ですので、複数のサイトで求人をよく比較して、自分の希望の条件に近い案件を探しましょう。
ここを面倒くさがると不本意な勤務形態となってしまう可能性があるので、しっかりやりましょう。
クリニックによって守備範囲が結構違う
往診・訪問診療のバイトを探す上で、もう一点大事なことは、
「勤務するクリニックによって結構守備範囲が違う」ということです。
クリニックによって受け入れている患者さんの層が違いますから、自分の診れる範囲と近いところを探すと、強みを活かせると思います。
一般的なプライマリケアができる医師を募集しているところもあれば、担癌患者さんの対応や緩和ケアもできる医師を募集しているところ、各科の専門的な診療もできる医師をところなど、様々です。
忙しさ
往診・訪問診療バイトの忙しさは勤務先によって様々です。
私が定期非常勤で行っていたところは、1コマ4時間の契約でしたが、基本的には2〜3時間で終わっていました。
そして、終わったら待機せずに帰宅可でした。
その他、スポットで行ったところだと、結構呼び出しが多くて、「あまり休憩時間ないな」みたいなところもありました。
往診、訪問診療バイトの時給・給与は?
気になる時給については、他の内科のバイトと同様、時給1万円前後のところが多いです。
ただ、3時間で4.5万円(時給1.5万円)という案件もあれば、時給0.9万円の案件もあったりと、幅はあります。
あとは、前述の通り、オンコール当番をやるかどうかも給与に関与してきます。
その他、クリニックにもよると思いますが、経験年数やスキルによっても待遇が変わってくる、という場合もあります。
実際に往診・訪問診療バイトを探すときは、複数サイトでとにかくたくさん求人を見ると、相場観が養われてきます。
往診・訪問診療バイトの良いところ
ここからは、往診・訪問診療バイトの良いところについて書いていきます。
信頼関係を築きやすい
スポットの場合は別ですが、定期非常勤の場合だと、2週間に一度などの頻度で、長期にわたって診療していきますから、信頼関係を築きやすいです。
定期的に診療する、という意味では外来も同じですが、訪問診療の方が患者さんとの距離が近い感じがあります。
信頼関係が築けていると、スムーズに診療を進めていけますし、とても心地良いです。
日常の様子や生活の背景、人となりも知ることができる
往診・訪問診療の場合は、普段患者さんが生活されている空間に訪れますから、どういった生活をされているのか、何に興味があるのか、などがわかりやすいです。
外来だと得られる情報は限られていますから、ここは大きな違いです。
何気なく飾ってあるものや本などから、「こういったものに興味があるんだな」ということもわかりますし、そこから会話が発展していくことも多かったです。
状態が安定されている方だと、診療や病状の話よりも、趣味の話がメインになることも往々にしてありました。
ご病状だけでなく、何が好きかなど、患者さんの人となりが見えやすいのも往診・訪問診療の特徴だと思います。
異変に気付きやすい
これは、先ほどの日常の様子を知ることができる、という部分と関連しますが、普段の様子をわなっているからこそ、何かあった時に異変に気付きやすいです。
他の人にとっては大したことないような症状や検査値に見えても、○○さんにとっては問題だ、というように、細かい変化に対しても敏感になれます。
患者さんの笑顔
訪問診療をしていて、とても心が和んだ患者さんとのエピソードがあります。
それは90代の女性で、ほぼ寝たきりに近く、日中数時間車椅子に座っている時間もある、程度のADLの方です。
お話も基本的にはできず、時折声というか、「あぁ〜」というような言葉を発されるような状態の方でした。
施設の看護師曰く、普段は真顔でいらっしゃることが多いようなのですが、私が訪問診療でご挨拶をすると、毎回笑顔になられるのです。
施設の看護師・職員も、「こんな笑顔普段見せないですよ」と言っていて、笑顔を見せてくれることがとても嬉しく、この仕事はいいなぁ、と実感した瞬間の一つです。
これは私が後期研修医の時の話なのですが、高度な専門性がなくても、聞こえのいい肩書きやわかりやすい実績がなくても、患者さんのお役に立つことはできるんじゃないか、と改めて思った瞬間です。
認知症の進行の早さを実感
私が定期非常勤で施設の訪問診療をしていた時の話です。
担当患者さんの一人に、70代男性で、認知症のある方がいました。
前担当医から引き継いだ時点で、軽度の認知症はある方でした。
認知症のフォローは外部の病院の専門外来に定期的に、施設の職員の方に連れて行ってもらい、投薬を受けていた方でした。
引き継いだ当初は多少ちぐはぐなところはあるものの、会話はある程度できました。
会社員時代のご友人が時折訪れてきて、談笑することもあったようです。
しかし、徐々にそれも難しくなっていき、半年後には会話はほぼできず、出かけたら道に迷って自力では帰ってこられなくなったり、トイレ以外でも排泄をすることもあるような状態になられました。
私は身の回りで認知症の人がいなかったのですが、「こんなにも認知症は進むのが早いのか」ということを実感しました。
進む時は月の単位で一気にガクッと進むのですね。
訪問診療でお元気な時の様子を知っていただけに、驚きも大きかったです。
最後に
本記事では、往診・訪問診療バイトについて、体験談を交えつつ、ご紹介してきました。
往診・訪問診療バイトを検討されている先生のご参考になれば嬉しいです。
一口に往診・訪問診療と言っても、色んな案件がありますし、募集も多いので、希望に近い案件もきっと見つかると思います。
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