医師のバイトの一つに、健診バイトがあります。
今回は、健診バイトを検討されている先生に向けて、事前の注意点や内容、時給、メリット、デメリットなどを、私の経験を交えつつ、ご紹介していきたいと思います。
それでは、早速見ていきましょう。
健診バイトに行くにあたり、事前の注意点は?
まず、医師が健診バイトをするにあたり、事前の注意点や気になる点ついてご紹介します。
時間に余裕を持って行こう
当日は、遅くても15分くらい前までには着いているようにしましょう。
健診バイトに限らずですが、スポットで初回の勤務先に行った場合、仕事内容や電子カルテの使い方、病院やクリニックのシステムなど業務のオリエンテーションがありますから、時間には余裕を持っておいた方がいいです。
時間ギリギリに来るドクターは雇用する側からしても、印象は良くないでしょうし。
また、初回の場合、雇用契約書や給与の振込口座を書いたりする時間も必要です。
これらの書類は勤務の隙間時間に書くこともできる場合もありますが、忙しかったら最後まで書けないかもしれませんしね。
経験が浅い場合は診察手技などの予習を
まず、当たり前ですが、健診バイトをしたことがない、もしくは経験のない場合、診察のチェックポイントなど、予習をして行かれた方が良いと思います。
科によっては、聴診など長らくしていないドクターもいらっしゃると思いますし。
持ち物について
白衣は持っていく必要はあるのか?
白衣は、案件にもよりますが、基本的には持っていく必要はないところが多いです。
用意されていることが多いですが、求人の詳細欄等で、事前に確認しておいた方が無難です。
聴診器は?
こちらも基本的には用意されていることが多いですが、チープな聴診器が用意されていることもありますので、自分の聴診器を使いたい場合は、持って行っておいた方が良いでしょう。
はんこ
スポットなど初回の勤務先の場合、はんこは持って行った方がいいです。
雇用契約書などに必要なケースもありますので。
昼食、飲み物(必要な場合)
終日勤務の場合、近くに昼食を買えるような場所がなければ、昼食は持参するか、買って行った方がいいと思います。
健診バイトの仕事内容
問診
事前の問診票に基づき、既往歴等で気になる点があれば聞いたり、今気になっているところがないか等を確認します。
血圧測定(必要な場合)
案件によっては、血圧測定を医師が行う場合もあります。
以前行ったところで、医師が手動血圧計での測定を行うところもありました。
身体診察
続いて、身体診察に移ります。
診かたについては、ご存知の方も多いとは思いますが、簡単に流れを以下に挙げておきます。
【頭頸部】
眼球結膜: 黄染などないか?
眼瞼結膜: 貧血の有無
口腔内: (必要であれば)
頸部リンパ節
【胸部聴診】
呼吸音: ラ音の有無の聴取
心音: 心雑音や不整脈がないか
【腹部診察】
視診
聴診
打診
触診
疼痛や腫瘤の有無等を含めて、診ていきます。
【下肢】
下腿: 浮腫の有無
足背動脈: 触知するか
※上記は、あくまで代表的な診察項目です。
診察に乳房診察が含まれることもあります。
しこりなど、乳癌を示唆する所見がないか、チェックしていきます。
診察手技については、復習しておきましょう。
なお、復習として、乳癌の好発部位は外側上部です。
また、男性医師の場合は、(必要に応じて)女性の看護師に付いてもらえないか、確認するといいでしょう。
胸部レントゲン撮影
場合によっては、胸部レントゲンの撮影のボタンを自分が押す場合もあります。
事前の位置確認、そして息止めの指示をしてから、撮影です。難しいことはありません。
読影
案件によっては、胸部レントゲンや、心電図の読影があります。
見落としのないように、慎重に行います。
結果説明
健診バイトをする場合、診察などだけの場合もありますが、結果説明を行う場合もあります。
健診結果に問題なければ、その旨を受診者にお伝えします。
その際、前年は異常値があったのに数値が正常化していた場合などは、そこにしっかり言及すると受診者の方も喜ばれることも多いので、私は伝えるようにしています。
問題ない今の生活を続けよう
とか、
このまま頑張ろう
と思っていただき、今後の健康的な生活への動機付けとなるよう、言葉を選ぶと良いかもしれません。
一般の方は、「お医者さんに大丈夫って言われたら安心しますね」という方も結構いらっしゃいます。
個人的には、悪いところだけを指摘するのではなくて、良いところはしっかり「良い」とお伝えしていくのが大事だと思っています。
また、何らか異常所見がある場合は、医師の腕の見せ所です。
まず、問題がある所見以外の部分については問題がない、あるいは改善していることをお伝えすると話を聞いてもらいやすくなるように思います。
その上で、問題がある部分については、どういう意味がある所見なのか、ということをご説明した上で、今後適切な行動をとってもらえるよう、言葉をかけていきます。
中には、忙しいビジネスパーソンや、なかなか健康への意識が低い方もおられるので、そういった方にどのようにしたらうまく伝わるのか?と考えながらやっています。
せっかく異常が早期に見つかっても本人がその気になって、対策をしていかなければ意味がありませんからね。
自分がかけた言葉が行動変容につながるのは、嬉しいことです。
健診の仕事における醍醐味の一つだと思います。
健診バイトの時給、給与は?
地域や案件にもよりますが、健診バイトはだいたい時給1万円前後のことが多いです。
半日の一コマ3.5〜4.5万円くらいの案件が多いです。
ただ、勤務を予定していたドクターが直前で急に勤務できなくなった場合など、急募の案件は時給・給与がアップすることもあります。
切迫度に応じて、報酬もアップしますので、高単価の案件狙いたい方は、医師の求人サイトをこまめにチェックしておくと良いと思います。
単価が1.5倍くらいになることもしばしばあります。
健診バイトの忙しさは?
勤務する上で、一番気になるのが忙しさですよね。
ただ、こればかりは案件によるので、一概には言えません。
勤務開始から終了まで、休む間もないようなところもあれば、ゆったりしていて、時々受診者の方が来るかな、というところまで様々です。
私が以前行っていたところは、半日で20-30名ほどでした。
求人の詳細欄に、予定の受診者数が記載されていることが多いので、それを参考に忙しさを推し量ると良いでしょう。
その他、一診制なのか、複数なのか、も併せてチェックしておくといいと思います。
また、一度行って自分のペースに合っていると思ったところは、次からも募集が出ないかチェックしておくと良いと思います。
勤務が終わったら帰れるのか?
予定の受診者の診療を終えたら、すぐ帰れるのか、時間までは居ないといけないのか、これも案件によります。
すぐに帰れないところもありますので、必要な方は本など、何か時間を有効活用できるものを持参されるといいと思います。
好条件の案件を掴むために
健診のバイトは常に多くの医師がやりたいと思っているため、人気の求人はすぐに募集が終わってしまいます。
ですので、高単価やゆったり勤務など、好条件の案件を掴みたければ、複数の求人サイトで日頃からこまめにチェックしておく必要があるでしょう。
健診バイトのメリットは?
それでは、続いて、健診バイトのメリットについてみていきます。
仕事内容がハードではない
健診の仕事は、一般的には、医師の仕事の中では、それほどきつい仕事には入りません。
受診される方も基本的には健康な方がほとんどなので、一人ひとりに非常に多くのエネルギーを使うわけではありません。
受診者の数が多い場合や、見落としなく読影をしなければならない、という点においては、体力的、精神的に負担やプレッシャーはかかりますが、基本的にはとてもハードな仕事、というわけではありません。
ですので、バリバリ働くのに疲れてしまった先生、ゆるく働きたい先生、バイト医、ドロッポ医、フリーランス医の先生方にもおすすめの案件となります。
その他、産後復帰される先生、臨床現場からしばらく離れていた方にとっても、働きやすいと思います。
基本的に残業はない
こちらも、嬉しいメリットですね。
だいたいこの時間内に収まるよう予約の段階で調整されていますから、基本的には残業は発生しません。
万が一あるとしても、わずかだと思います。
呼び出しがない
こちらも、当然と言えば当然ですが、病棟管理などと違って、呼び出しなどはありません。
ですので、仕事と私生活のメリハリがきっちりつきます。
常勤で病棟管理をされていて、呼び出しが日常的な先生にとっては、非常に魅力的な勤務環境だと思います。
需要が底堅い
健診は、法律で雇用主は従業員に健診を受けさせる義務が定められていますから、毎年、一定数の方が必ず受診します。
ですので、需要は底堅いと言えますので、
今後仕事がなくなってしまうかもしれない
という不安はあまり必要ないと思います。
健診バイトのデメリットはあるのか?
では、逆に、デメリットはあるのでしょうか?
順番に見ていきます。
参入障壁が低い
健診の仕事には、高度な専門性を必要とはしません。
後期研修医も含めて、いわば、医師であればほぼ誰でもできるのです。
プレーヤーが多い市場だからこそ、給与水準が上がっていくということは想定しづらい思います。
ただ、代わりがきくからこそ、(事前に申請すれば)休みたいと思ったら休める、ということです。
専門性の高い、代わりがきかない外来などやっていると、休もうと思ってもなかなか休めませんよね。
このように、メリットとデメリットは表裏一体です。
高度な専門性は身に付かない
健診バイトを通じて、
・見落としなく診療する能力
・受診者の方にわかりやすく説明したり、行動変容を促すようなコミュニケーション能力
などは身に付きますが、専門性の高い技能が身に付くわけではありません。
そこはデメリットともいえますが、だからこそ、高度な専門性がないドクターでもできる仕事と言えます。
見逃しのリスクがある
胸部レントゲンや心電図の読影など、見逃しは許されません。
ただ、案件にもよりますが、自分が一次読影で、別の医師が二次読影、というようにダブルチェックの体制が敷かれているところもあります。
それに、臨床医として働いている限り、完全にリスクのない職場などありません。
過度にリスクを恐れず、しっかり勉強して最善を尽くす、これしかありません。
最後に: 健診バイトはおすすめ
本記事では、健診バイトの内容、時給、メリット、デメリットなどについて、体験談を交えつつご紹介してきました。
健診バイトは多くの医師にとって働きやすく、おすすめのバイトです。
常勤求人や健診バイトを探すなら、以下のサイトがおすすめです。
【医師のおすすめ転職サイト(常勤編)(上からおすすめ順)】
常勤で求人を探す場合は、信頼できる少数のサイトに絞って(多くて3つくらい)探していくのがおすすめ。
たくさん登録しても全部見るのは正直大変なので。
求人数含め総合力の高さはもちろん、Web面談や電話面談にも対応◎
・常勤求人数14000件以上
・医師一人に担当が2人付く
(専任エージェントは全員医療経営士保有)
というのも強み。
一般的な条件の各科の求人はもちろん、「週4可」「産業医」求人などもしっかり取り扱いあり。全国対応。
サイトの見やすさ、使いやすさも良い。
業界最大級で求人数がとにかく多い。
車でいうトヨタ的存在。
自分が転職した時(&バイト探す時)はまずm3を見てた。
エージェントの質、サイトの操作性含めマジで非の打ち所がない。
敢えてデメリットを挙げるとすると、皆このサイト見てるから人気の求人には速攻応募殺到する、くらい。
・
「迷ったらここだけ見ておけ!」ってくらいおすすめ。
強みはシンプル。求人数と、エージェントの質(柔軟性と提案力)。
転職サイトに求めるものって、極論ここだけですよね。
皆様ここは登録しているかな、と思ってこの位置にしていますが、まだの人は是非。
このサイトにしか出ていない求人もあるので、ここで求人探して損はないです。
ぶっちゃけそれほど取り扱い求人数は多くないが、自分のペースで働きたい人向けの求人など、ニッチな求人に強い印象。
非常勤求人にも対応。
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時間があまりない、探すの面倒くさい、みたいな人におすすめ。
【医師のおすすめアルバイト(非常勤・スポット)紹介サイト(上からおすすめ順)】
バイトは常勤の場合と違って、「数撃ちゃ当たる」で、できる限り多くのサイトで求人を探すと自分に合う案件に出逢える確率が高まります。
一つのサイトにしか求人を出さない医療機関はたくさんあるので。
非常勤、アルバイト探しも盤石の業界最大級。さすが車でいうトヨタ。
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常勤求人同様、求人数・質もバランス良く、重宝する。自分も良く利用する。
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正直エムスリーと甲乙つけがたい。
求人数も負けていない。
実は自分も後期研修中のある時までこのサイト知らなかったんですが、初めて見つけた時「もっと早くこのサイトと出会いたかった…」ってなりました。
リクルートなので知名度的にも安心感あり。
自分で使ってみた感想としては、エージェントがマメで定期非常勤とか良い所見つかるまで(希望すれば)気長に付き合ってくれるので好印象。