研修医の頃オラつかれたことは何年経っても忘れない

救急外来の研修医
本サイトにはプロモーションを含みます
目次

研修医1年目、救急外来にて

あれは研修医1年目の5月頃のことでした。

まだ右も左もわからない時です。

4, 5月に病棟業務をやって、徐々に仕事を覚え出してはいるものの、救急外来の対応には全然自信がありませんでした。

(本などで勉強はしていましたが、救急の現場での能力は現場でしか養われませんし)

その日は日中は救急外来を担当していました。

(もちろん私一人ではなく、他に研修医と、上級医もいます)

私の勤務は午後8時までで、午後8時に当直のドクターが来るので、その時自分が診ている患者さんは当直の先生に引き継ぐ、という形でした。

採血に手間取る

その日は引き継ぎ直前にドドッと患者さんが来ました。

私は二人の患者さんを担当することになりました。

そのうち一人の方が肺炎の疑いだったので、(一般的な採血に加えて)動脈血ガスと血液培養2セットも採取することになりました。

ただ、まだそれほどAからの採血に慣れていなかったのと、その方に結構な肥満があったこともあり、採血するのに思ったより時間がかかってしまいました。

想定では10分前後で採血を終わらせ、残りの時間でもう一人の患者さんの追加の対応なり、追加のオーダや評価をする予定だったのですが、それが叶いませんでした。

そのためその患者さんについて、十分なオーダやアセスメントができていない状態で引き継ぎの時間が来てしまいました(全く何もしていなかったわけではなく、最低限のオーダやカルテ記載はしていましたが)。

引き継ぎでのオラつき

そして、よりによって、その日の当直はオラつきがちで有名な先生でした。卒後4年目の男のドクターです。

3年目〜5年目くらいのドクターって時々、何を勘違いしているのかオラつき倒している人いますよね。

私が担当の2人の患者さんについて引き継ぎをしていったのですが、肺炎疑いの一人の患者さんについての引き継ぎはつつがなく終わりました。

問題は次です。

もう一人の方の引き継ぎを終えた瞬間、その当直医はまくし立てるようにこう言いました。

「何これ。どうなってるの?

全然できてないじゃん。

これだと当直に丸投げみたいになってるから。

なんでこれオーダしてないの?これは?これは?

で、先生はどう考えてんの?は?

・・・・・」

実際はもっと長かったですが、後半は正直あまり覚えていません。

「もう一人の方の対応に手間取ってしまって、すみません」とか言い訳しようものなら、炎上しているところに燃料を追加するようなものですので、それは言わずにこらえます。平謝りです。

もちろん、決して完璧とは言えない状態で引き継ぐことになってしまったことは、私に非がありますし、実力不足だったのは紛れもない事実です。

ただ、「それを1年目の5月の研修医に、その口調で言うか?」とは思います。

自分だったら絶対しません。

というか、その時に強く思いました。

「自分はこんな言い方をするような人間にはならないでおこう」と。

もう何年も前のことですが、この時のことを忘れることはありません。

言った方は覚えていないでしょうが。

そのドクターも、疲れていたり、ストレスがたまっていたのかもしれません。

しかし、ちょっと疲れたくらいで感情がコントロールできないようでは、「社会人としてどうなのかな」と思わざるを得ません。

しかし、反面教師ではありますが、多くの学びがありましたので、感謝することにしています。

後日談-1年後、病棟にて-

そして、この話には後日談があります。

それから約1年が経ち、研修医2年目になった私は、そのオラつかれたドクターが後期研修医として所属する科をローテすることになりました。

救急外来での一件をすっかり忘れた様子の彼は、ローテ序盤に電子カルテの席が近くなったタイミングで、このようなことを言ってきました。

「なんかわからないことあったら何でも聞いてね。俺が教えるからさ」

まず、コイン顔負けの二面性に驚きです。

そして、一見優しい言葉のように聞こえますが、この言葉には裏があったと私はみています。

なぜかというと、私とそのドクターの間の席に、若いナースがいました。

そしてその子が相当可愛かったのです。

だから、「わからないことがあったら何でも聞いてね」と言うことで、その子に「優しい先生アピール」がしたかっただけだと思います。

実際、ローテ開始後それまでも何度か近い席になることはありましたが、近くにナースがいなかった際は、何も言ってきませんでした。

ここまでいくと哀れ、いや、もはや愛おしくすら思えてきます。普段は偉そうに色々言っていても、結局モテたいだけのようでした。

研修医にオラつくと、末代まで語り継がれる可能性がありますから、皆様もお気を付けください。

  • URLをコピーしました!
目次