医学生の頃は、過剰にアツかった|コロナ禍でも医学部人気というニュース

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このコロナ禍の中においても、医学部人気は根強いようです。

「社会の役に立ちたい」

「人不足の現場で活躍したい」

という声もあって、「頼もしいなあ」と思いつつ、「ああ、そういえば自分にもそんな頃があったなあ」と懐かしい気持ちにもなりました。

目次

学生の頃は「過剰に」アツかった

自分が医学生だった頃のことを今になって振り返ってみると、過剰にアツかったな、と思います。

「初期研修もハイパーなところでたくさん経験をしたい、と思っていましたし、その後もガムシャラに働いて専門性を磨き、患者さんの役に立つんだ」

そう思っていました。

どうやら、僕らの世代はそういう人が結構多かったようです。

しかし、その後明らかに潮流が変わり、若い先生たちの世代からは、QOML志向というか、ハイパーなのをよしとする人は減ってきているようです。

これまでの伝統や慣習を疑って、

「本当にそれで良いのか?」

「同じような仕事できるんだったら無理してしんどい思いしなくて良くない?」

と冷静に考えられる人が増えてきたのかもしれません。

実際に医師になって感じたこと

学生の頃は、例に漏れずアツい想いを持っていた私ですが、実際に病院で働くようになって、その過剰とも言えるアツさは徐々に揺らいでいきました。

初期研修、後期研修ともにほぼ休みのない生活を送りました。

夜中に電話があることもしょっちゅう、土日のどちらかでもフルで休めるのは数ヶ月に1回、というような時期もありました。

「今頑張って能力を身につければ、今後役に立つ」

そう思っていました。

実際、そう「強く」思えているうちは、あまり休みがなくても、それほどしんどくはありませんでした。

いや、しんどくないと言ったら嘘になりますが、それよりも「これで医師としての実力をつけられる」という期待やメリットが上回るように感じられたので、何とか頑張れていました。

しかし、そんな日々も長くは続きません。

(数年は続きましたが)

当時の職場の先輩や上の先生を見ても、全然生き生きしていない。むしろ顔が死んでいる。

このままここに居たら、自分もこうなってしまうのか?

それだけは嫌だ。

そう思いました。

また、人生において仕事を最優先して生きてきて、それなりに身に付いたものもありましたが、「自分の人生このままでいいのか?」

と思い始めました。

確かに仕事は徐々にできることが増えてはいる。

でも、仕事ばっかりで人生を全然楽しめていないんじゃないか。

刹那的に生きるつもりもありませんが、それでも「何のために生きてるんだろう」と思うようになりました。

現実的にも、体力的にきつかった部分もあります。

そして、その体力を支える拠り所となっていた「頑張るぞ」という気概が徐々に堅固なものではなくなってきたこともあり、

「この生活を続けることはできない」と思うようになりました。

そうなってからは早かったです。

当時の職場も一区切り付いたところで辞めて、新しい環境に身を置きました。

ハードワークすぎず、適度に自分に合った環境で、今は働いています。

仕事以外の自分の人生も謳歌しています。

環境問題に関して、「サステナブル」という概念が提唱されてきていますが、医師のキャリアについてもサステナブルがいいかもしれません。

アツさを失ったわけではない。過剰でなくなっただけ。

こんなことを言うと、すっかり燃え尽きてしまった人のような印象を与えかねませんが、そうでもありません。

今でも、医師として、自分にできることをしつつ、患者さんのためになることをしていきたい、という想いは持っています。

過剰でなくなっただけです。

やっと正常というか、基準範囲内に戻っただけかもしれません。

ただ、休みなく頑張ったあの数年間のことを無駄だったとも思いませんし、後悔もありません。

メーターが振り切れるほど頑張ったからこそ、「この生き方、働き方は違うな」と気付くことができたので、それはそれで良かったかな、と思います。

コロナ禍における医学部人気に思うこと

さて、そうなると気になるのがコロナ禍における医学部人気のニュースです。

かつての自分のように、アツい想いを持って現場に出たものの、しんどさに、「やっぱり違うな」という人も一定数出てくるんじゃないかなと思います。

ただ体力的にしんどいだけでなく、コロナ診療だと、あまり遠出など遊びに行けなかったり、「家族の待つ家には帰れずホテル暮らし」だったり、制限されることも多いようですし。

シフトチェンジ自体は別に悪いことでもなんでもなく、自然なことだと思いますし、「違うな」と思ったら道を切り替えてしまえばいいと思います。

心配なのは、しんどい想いをしながらも、正義感や責任感が強すぎて、なかなかシフトチェンジできず、身も心もボロボロになっていく、そんなケースです。

一人でも多くのドクターが無理をすることなく、その人らしく働けるような環境が整備されていくことを願って止みません。

医師の皆様は能力の高い方が多いので、燃え尽きてしまって、すっかり医師を廃業してしまうのはもったいないです。

もちろん、医師以外にやりたいことがあるならそれは素晴らしいと思いますが、

そうでない場合は、バリバリ働かなくても、細々とでも、一人一人の能力を活かしながら勤務を続ける方が、結果的には社会の役に立つことになるんじゃないかと思います。

まあ、そんなややこしく考えなくても、ただ健康で生きてて、ちょっと働くだけで十分社会の役に立っているとも思いますが。

もっと言うと、社会、社会と周りのことを考えるのも高尚で立派だと思いますが、まずは自分が幸せでないといけないと思います。

自分が幸せでないと、人を幸せにすることは難しいでしょうし。

最後に

自分がアツかった頃のことを振り返っていたら、いつの間にか今の学生さんたちを心配する、という何ともおこがましい展開になってしまいました。

とにかく、不必要に苦しい想いをされる先生が一人でも楽になってもらえたら、それだけです。

お互い、人生を楽しみましょう。

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