無断キャンセルや遅刻があると困る
外来をしていると、予約を無断でキャンセルする患者さん(来ない人)や遅刻をする人が時々います。
(何だったら、当日予約にもかかわらず連絡なく来ない、というトリッキーな技を繰り出してこられる方もいます)
遅れるなら遅れるとか、今日はやっぱり急に行けなくなったとか、事前に連絡があるとまだいいのですが、何の連絡もない場合も結構あります。
そんな時はこちらとしても困ります。
予約が空いていなかったからその日は受診できなかった患者さんもいるでしょうから、困るのは医療機関側だけでもなさそうです。
もちろん、何らかのっぴきならない事情により、来れなくなる、ということもあるでしょうが、電話一本くらいはできるケースの方が多いんじゃないかと思います。(電話すらできないような状況の時はしょうがないと思います)
キャンセルをした人の次の時間帯も別の患者さんの予約があって、その方が早く来ている場合などは、来ない患者さんを飛ばすだけだからいいですが、そうでなければ時間に空きがでてしまいます。
また、キャンセルをした方をその日は飛ばしたとしても、後で連絡が来て、翌週などに診てほしい、と言われたりします。
予約を断ることもできませんから、予約を取ってもらうしかありません。
その翌週が既にどれほど予約がいっぱいでも、取るしかありません。
こちらとしては、各日程間で大幅な患者数に差ができないように、忙しくなりすぎる日ができないように調整しているのですが、そこにも影響が出てきます。
また、できるだけ待ち時間が生じないように、極力工夫して、予約の取り方を調整しているのですが、キャンセルがあると、そこも狂ってしまいます。
あとは、たまに遅れて来たのに「来たんだからすぐに診てほしい」という人もいて、「ああ、本当に自分のことしか考えていないんだな」と思います。
自分の場合は、大幅に遅れた方は最後の順番になる旨を了承してもらっていますが。
まあ、これは余裕がない外来をしていた時の話なのですが、ちょっとキャンセルが出たくらいで影響が出る、ということ自体も問題といえば問題かもしれませんが。
もっと気持ちに余裕を持って仕事をしていきたいものです。
患者さんの多い病院だと現実的には難しいかもしれませんが。
無断キャンセルをする人の心理とは
無断キャンセルをする人、というのはどういう心理なのでしょうか。
何が原因でそうなるのでしょうか。
・単純に忘れている
・行くのを辞めたが連絡はしないでいいと思っている
などが多いかもしれません。
何か事情がある方は連絡をいただくことが多いですし。
人は忘れる生き物ですから、忘れてしまうのはしょうがないと言えなくもありません(それでも、忘れないように気を付けていただきたいものですが)。
たちが悪いのは後者です。
もうちょっとこちらのことも思いやってくれたらな、と内心思いますが、世の中本当に色んな人がいますから、仕方ないかもしれません。
ちょっと前からは人に何かを期待する方が間違いかな、ということで半分諦めてしまっている部分もあります。
何かを提供する側になると、提供する側の気持ちがわかる
でも、こんなことを思うのは、自分が外来をしているから、という部分も結構ありそうです。
自分が外来をしているからこそ、遅れられたり、無断キャンセルをされると困ることを身をもって実感しています。
外来についてくれている看護師も医師と連動して予定を調整していることもありますから、そういった部分でも影響がありますしね。
患者さんからしたら、その辺の事情というのはわからないのかもしれません。
しかし、自分も何らかサービスを提供する仕事をされている方などは、その辺を想像力で補うのは難くないことだとは思います。
だからこそ、自分が医療機関を受診することになったら絶対遅れないように気を付けよう、と思いますし、
医療機関に限らず、どんなお店に行く際もそういったことのないようにしよう、と思います。
ちなみに学生の頃、居酒屋でバイトをしていたことがあるのですが、そのバイトの人と一緒に(自分たちの店ではない別のお店に)飲みに行った時、その人は食べ終わったお皿をキレイに重ねて、「あとは運ぶだけ」の状態にしていました。
複数あったグラスも、取手同士が近くなるようにして、店員さんが一つかみで掴めるようにまで配慮していました。
「職業病みたいなもんだわ」と言っていましたが、これも、普段やっているからこそ、店員さんの気持ちがわかる、という一例です。
あとは、医療機関に限らないとは思いますが、何か特記事項のある方はメモが残されている、ということなどもご存じないのでしょう。
・頻繁にキャンセルをする方
とか、
・〜の件で看護師に暴言を吐いた方
など、こういったことが記録・共有されているとは露にも思っていないのでしょう。
病院だから許されるだろう、という甘えもあるのかもしれません。
自分が損するだけなのにな、とも思います。
まあ、知らない方が本人は幸せってこともありますから、それはそれでいいのかもしれませんが。
知り合いの看護師が美容系の自由診療のクリニックで働いているのですが、治療の時間は決まっているので、遅れてきた人に対しては、レーザーの照射の回数を減らさざるを得ない、と言っていました。
キャンセル料を取っているところも
こうした無断キャンセル対策として、キャンセル料を取っているところもあります。
開業医や自由診療のクリニックなどで、事前準備や経費のかかる治療をキャンセルした場合は取っているところも結構あるようです。
キャンセル料がない場合とある場合とを比べると、やはりキャンセル料がある場合の方が、キャンセル率は低いと思われます。
しかし、保険診療を行う一般の病院だと、キャンセル料を設定するのは何となく難しいんじゃないかと思います。
別にキャンセル料が欲しいわけではなくて、お互い気持ち良く、医療を進めていきたいだけなんですがね。
おわりに
今回は、外来予約を無断キャンセルしたり、遅刻する人について書きました。
(一つ断りを入れておきますと、大多数の方はちゃんと来院されますので、対象となるのはごく一部の方です)
医療者とて人間です。仕事なのである程度は許容できますが。
人の振り見て我が振り直せ、で自分は人に余計な迷惑をかけないように暮らしていきたいと思います。