医局の運営の諸々を主体となって進める役割、医局長。
その業務は日常的な雑務にとどまらず、教授との運営方針の調整、人事など多岐にわたります。
私の所属していた医局の医局長はこれまで人生で出会った人間の中で最も腹黒く(もはや漆黒でした)、「THE・昭和の政治家」みたいな人だったのですが、
今思えば、それも必然だったのかもしれません。
医局長は優しい人に務まるような役割ではないんじゃないか、ということです。
今回は、そんなことを書いていきたいと思います。
医局長は腹黒くないと務まらない?

(まず、私は、あらゆる医局の医局長を見てきたわけではないので、あくまでn=1の話にはなりますが、ご容赦ください)
医局長の業務
医局長の業務は前述の通り、多岐にわたります。
医局の運営にかかる全ての業務に一枚も二枚も噛んでいます。
日常的な雑務だけでなく、人事や、新たな仕事を医局員に割り振ったり、ということがありますが、
その中でも医局の運営にとって(傍から見ていても)重要と思われるのが、人事と仕事の割り振りです。
人事については、
・入局希望者のうち、誰を採用するか
・後期研修医の誰を大学に残して、誰を関連病院に行かせるか
・ポスドクの進路の調整
・誰を助教にするか
・外勤先の調整
・大学院の入学希望者が定員より多い場合、誰の入学年度を遅らせるか
などの調整をしているようでした。
人事

ここで、思うのですが、人事なんて、皆人それぞれ希望があるので、全員の希望を叶えることはできません。
行きたくないと思っている人を関連病院や外勤に行かせるなんてことは、一人一人のことを思いやれる人は向いていないと思います。
ちなみに、私の所属していた医局の医局長はその作業を息をするようにしていました。
そもそも人の気持ちを汲み取る、という概念は持っていないような人でしたので、将棋の駒を動かすように、「こいつはここで、そしたらこいつはこっちに動かして・・・」と医局員の配置を決めていました。
むしろ楽しんでいるようにさえ見えました。
私が後期研修医の時に希望の研修先に行けず、大学に幽閉された話は以下の記事で詳述しています。

その他、ある時外勤先に関していきなり、

先生にはここに行ってもらわないといけなくなったから。
と言われ、拒否権も実質なく、外勤先の変更を余儀なくされたこともありました。
まともな精神を持つ人間がやれることではありません。結論が決まっていたとしても、せめて最初は外勤先の希望を聞くフリをするとかあったでしょうに。
医局に所属するとはこういうことなのか、と思い知らされました。
仕事の割り振り


仕事の割り振りについても同様です。
大学病院や医局においては、誰もやりたがらないような、面倒くさい仕事が次から次へと天然温泉のごとく湧いてきます。
私が医局所属時代に見た光景の中でもトップクラスに目も当てられない光景は、医局会議の場で、休日に出てこなければいけないような雑用を誰がやるか?、ということを押し付けあっているところでした。
紛糾した議論の末、一人の生贄が捧げられたわけですが、決まった後に医局長が



まあ、今回は当たらなかった人も、いずれ何らかの仕事をしてもらうことにはなりますので覚悟しておいてください。
と言ったのですが、それを聞いて、「なんて組織なんだ・・・」と感じました。
医局長は人が嫌がる仕事を立場上割り振らなければならないので、しょうがない部分もなくはないですが、「こんな仕事振っちゃって悪いな・・・」と少しでも思うような人であれば、続かないでしょう。
その点、私の所属していた医局の医局長は適任でした。
また、そもそもですが、医局長になるような人は、それだけ長く医局に居る、ということですから、医局の窮屈で閉鎖的な空気の中でもやっていけるような人、という側面もあるのではないかと思います。
(もちろん、医局にもよるとは思いますが。少なくとも私が所属していた医局の空気は終わっていました)
自由な精神の持ち主は医局の空気や過度な業務負担に耐えられず、遅かれ早かれ出ていくことになると思いますから。


おわりに


今回は、医局長は思いやりに溢れた人には務まらない、という点について書きました。
医局に所属するということは押し寄せる理不尽を受け入れる、ということです。
本記事をお読みの皆様の参考になりましたら幸いです。
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