大学にいた頃、論文の書きすぎなのか、立ち話でも論文のように、話題の背景から話し始め、目的、結果、結論や考察まで長時間話す先輩医師がいました。
簡潔に話すか座ってじっくり話すかどちらかにして
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その先輩医師は卒後10年目くらいの助教の先生でした。
その先生は論文をかなり書いている先生で、夜な夜な論文を書いたり読んだりしているところも頻繁に目撃していました。
そして、どちらかというとバリバリの臨床家というよりは研究が大好き、という感じの先生でした。
そんな先輩医師とある時大学病院の病棟でチームを組むことになりました。
研修医、自分、その先輩医師の3人のチームで入院患者さんの診療をしていきます。
ある時、僕が採取した検体の処理をしようかと足早に移動していたところ、その先輩医師とすれ違い、呼び止められました。
先生、今大丈夫?
どこからどう見ても大丈夫ではありません。
それを聞く前に自分の五感と脳を使って、話しかけて良さそうか否かを判断してほしいところです。
しかし、邪険に扱うわけにもいかず、
…は、はい…何でしょうか…
と「今急いでるんだ、気付いてくれ。ってかわかるだろ」という願いを込めて、移動したい方向に体を向けつつ返答したのですが、圧倒的な鈍感力で文字通り受け取られてしまい、話が始まってしまいました。
あの患者さんのことなんだけどさ、〜という研究があってさ、あ、それはちなみにそもそも〜という背景で行われた、〜という研究なんだけどさ、〜という結果なんだよね。
で、〜という背景の違いはあるものの、その知見は今回の症例に適用できるかもしれないな、と思うんだけどどう思う?
(間髪入れず)僕は〜で〜かなと思うんだけどね。
まあ、〜という考え方もあるから、〜というのもあるとは思うんだけど、それはそれで〜で(続く・・・)
と、こちらに付け入る隙を与えぬよう長時間話し始めました。
急に呼び止められ、立ち話での5分は長すぎます。
彼は法で裁くことのできない、時間泥棒です。
しかも、要点や結論からサクッと話すならまだしも、立ち話なのに話がくどすぎて、かなりきつかったです。
治療方針をどうするか、というしっかりした話ならば、座ってチームでのミーティングの時にやればいいと思うのですが、そのあたりの感覚もないようでした。
その後何とか立ち話を一旦終わらせ、私は検体の処理に取り掛かったのでした。
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なぜこのようなことが起きてしまうのか
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こうなると気になるのが、なぜ急いでいる相手を呼び止め、立ち話でダラダラ話し始めてしまう、という荒技が繰り出されてしまうのか、という点についてです。
元々のキャラがそうだったとすれば、もうどうしようもないとは思いますが、要因として、元キャラに加えて、環境因子もあったのではないかと思います。
大学病院・医局という閉鎖的な環境に身を置き、日々研究をし、論文を読んだり執筆に明け暮れる。
こういった行為に没頭しているうちに、生身の人間と接する機会が自然と少なくなり、徐々に人間の心の機微だったり、空気を読む、ということが苦手になっていく、そんな側面があるのではないかと思います。
また、論文に接する時間が長くなるにつれ、数値化や言語化されているものが全て、という考え方に傾倒しやすくなる、というのもあるかもしれません。
もちろん、そんなことない先生もいますけどね。
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医師というだけで、どうしたっていわゆる世間一般の感覚からは乖離していきがちである中で、大学病院・医局というさらに特殊な環境下に置かれることで、その傾向には一層拍車がかかるのかもしれません。
まあ、研究で結果を残すには普通ではいけないとは思うので、それはそれでいいという考え方もできますが、臨床をやるのであれば、相手の心の動きを察することができないのは、かなりの痛手になってきます。
患者さんと医療者の考え方にギャップがあるのはまだわからなくもないですが、同業者である後輩の医師の気持ちも全く察せないというのは、末期症状です。
自分はもう医局を辞めてはいますが、自分も気を付けないとな、と思います。
おわりに
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今回は、急いでいる相手を呼び止め、立ち話で長時間話す医局の先輩医師について書いてきました。
そして、医局を辞めてからはこういった人間関係のストレスは解放されました。
時代は令和です。
自分は同じようなことを周りの方にしないように、うまく適応していきたいと思います。
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