大学病院の臨床ってどうなんだろう?
忙しいのかな?
勤務時間はどうなんだろう?
給与、年収は?
外勤(バイト)は行けるの?
働きやすさは?
土日は休める?
というように、大学病院の臨床に関して多くの疑問をお持ちの先生もいらっしゃるかと思います。
大学病院の実態って気になりますよね。
わかります。
特に、これから大学病院で働くことを検討している、あるいは、大学病院で働くことが決まっている先生にとっては、
意中のあの子の好きな人くらい気になることと思います。
本記事では、このような先生に向けて、
元医局の犬
元大学病院勤務医である私めが、
実際の体験をもとに、
大学病院の臨床業務についてご紹介、解説していきたいと思います。ワン。
最初に言っておきますけど、
大学病院ってマジで大変です。
色んな意味で。(遠い目)
経験者として一言で言っておきますと、
大学病院とは、世界中の非効率と理不尽を集めてできたような所
です。
非効率、理不尽の最前線が学べますので、非効率と理不尽のスペシャリストになりたい方にはおすすめです。(そんな人いない)
(※あくまで個人の感想です。用法・用量は守って使用上の注意をよく読み正しくお使いください。ポンピーン)
それでは、早速行きますか。
しっかり掴まっててください。(バイクなの?)
病棟での仕事・勤務内容
手始めに、病棟での仕事についてお話ししていきます。
若手の先生が大学病院で勤務する場合は、まずは病棟業務を担当することになると思います。
入院患者さんの診療、ですね。
1週間のスケジュール
大学病院の病棟勤務医時代の1週間のスケジュールとしては、
午前 | 午後 | |
月 | 病棟 | 病棟 |
火 | 病棟 | カンファ |
水 | 外勤 or 病棟(※) | 病棟 |
木 | 病棟 | 教授回診 |
金 | 外勤 | 病棟 |
土 | (必要なら出勤) | |
日 | (必要なら出勤) |
私の場合、だいたいこんな感じでした。
※外勤(バイト)は後期研修医の時は週1コマ、
大学院生の時は週2コマでした。
担当患者数、症例数
大学病院の場合、一般に、担当患者数は市中病院よりも少ない傾向にあると思います。
(もちろん、科や地域特性などの要因に左右されるとは思いますが、一般的な傾向として)
私は某内科系診療科所属だったのですが、
担当患者数はだいたい6-10人ほどのことが多かったです。
これをお読みの先生の中には、この数字を聞いて
「少なっっ!」
と思われた先生もいらっしゃるかもしれません。
私も大学病院の前は市中病院にいて、多くの患者さんを担当することに慣れていましたから、
10人未満とか余裕っしょ
と思っていました。
ただ、実際やってみると、
少ない人数でもかなり大変
でした。
すみません。ここでひとつ訂正です。
先ほど
「かなり大変」
と言いましたが、
正確には、
「かんぬぁり大変」
でした。お詫びして訂正いたします。(文字数割いて言い直すことじゃない)
というのも、これはあくまで個人の意見ですが、
大学病院というのは、臨床をしていく上では、
非効率と非合理の極み
のような場所だからです。
下衆の極み!鬼畜の所業!!へっ!(急にどしたの)
(↑彼はきっと、大学病院時代を思い出して頭がおかしくなっちゃったんだと思います。そっとしておいてあげてください)
どういう部分がしんどかったのか、という点については以下の記事で詳しく解説していますので、気になる方はそちらも要チェケラです。
どういった症例を受け持つことになるのか?
大学病院では、以下のような症例が多いことが特徴です。
- 診断に難渋する例
- 病態が複雑な例
- 治療抵抗例
- 再発を繰り返している例
いずれも、簡単には事が進まない症例が多い印象です。
大学病院に紹介されてきて、入院を要するような症例ですから、当然といえば当然かもしれません。
診療体制は?チーム制?
私が所属していた科では、診療はチーム毎に行われていました。
チームは、
- 主治医: 助教
- ポスドク、後期研修医、大学院生のいずれか
- 初期研修医
の3人で構成されます。
主治医は助教が務めていました。
大学病院で後期研修をすると、良くも悪くも守られている感はあります。
市中病院だと、ガンガン主治医をするところもありますからね。
土日は休めるのか?
土日は表向きは休みでした。
ただ、実際は私の場合はかなりの頻度で出勤していました。
僕だけじゃありません。
周りのドクターも同様でした。
病棟の担当医であれば、担当患者さんの状態が安定していなければ、土日も病状や検査結果を見に行き、対応する必要があります。
もちろん、当直はいますが、当直はあくまで当直で、何か急なことがあった場合には、その場でできる対応をしてはくれますが、それ以上のこととなるとやはり担当医が必要です。そうなれば休日とかお構いなしに電話かかってきます。携帯解約しようかしら。と思ったことは言うまでもありません。
また、休日は当番を決めて、自分の担当患者について当番に引き継ぐ、という当番制も敷かれていませんでした。
なんでやねん。座布団と当番制は敷くもんでしょ。(あんまり上手くない)
それに、業務量も多い週などは、平日で消化しきれなかった残務をするために土日に出勤することも多々ありました。辛かったよぉ。ワーカホリック嫌だよぉ。
カンファレンス
病棟カンファレンス
私の所属していた科の場合、週1回、病棟でカンファレンスがありました。
担当患者さんについての1週間の病状の経過や今後の治療方針について、担当チーム毎にプレゼンしていきます。
そしてこのカンファレンスがとにかく長かったです。
どのぐらい長かったかというと、
京都銀行とのお付き合いくらい長かったです。(CMわかる人いますか)
私は内科系で、科の特性もあるかもしれませんが、
平均して3時間程度、一番長いと4時間ほどカンファレンスをやっていました。
正気の沙汰じゃねぇ。
3-4時間あったら大阪まで飛行機か新幹線で行ってたこ焼き食えるっちゅうねん。ほんで青のりもかつお節もかけちゃってもらって大丈夫やっちゅうねん。(おなかすいてきた)
日本の生産性の低さは大学病院が押し下げているといっても過言ではないでしょう。
プレゼンも往々にして要領を得ないのと、色んな人があーだこーだ色んなことを指摘したり、意見を述べたりするので、どうしても長くなります。
カンファ室の前の壁に「Time is Money.」ってデカデカと書いた紙でも貼りたいくらい。
(まあ、貼ったら貼ったで「誰が、なぜこれを貼ったのか」という議論が追加され、さらに長くなるだけでしょう…オーマイガー)
「その検査やってもやらなくても、あるいは、やってどんな結果であろうとも、治療方針やアウトカム変わらなくない?それ何のための検査なのよ」と思うことも多々ありました。
その他のカンファレンス
上記のカンファの他に、
大学病院では何かとカンファが多いです。
看護師とのカンファ、栄養のカンファ、他部署とのカンファ…などなどありとあらゆるカンファがあります。
あまりのカンファの多さに、一時期私は、クレジットカードの申請の際なんかに、職業欄に、
「プロカンファレンサー 兼 ハイパーメディアクリエイター」
と書いていました。(嘘)
もちろん、カンファにも必要な部分もありますが、
「カンファをすること自体が目的化しているカンファ」も多いです。
大学病院はカンファを食べて生きています。きっと。
サマリ作成が大変
カンファレンス用サマリ
これもとにかく大変でした。
市中病院の時は、経過は日々カルテにまとめていき、サマリは退院時に退院サマリを作成していましたが、大学病院では毎週カンファ用に本格的なサマリ作成が必要でした。
初回は詳細なサマリ、2回目以降は週間サマリとなりますが、大学病院ですので、細かい点まできっちり書くことが求められます。
検査結果を単位も含めて、スペースも気にして貼ったり、細かい体裁まで気にして、書かなければなりません。これがまあダルい。
当然ながら内容もわかりやすく、担当医の考えや論点がわかるように、文献的考察を加えつつ書いていくのですが、体裁を整えるのにも相当な時間がかかってしまうため、サマリを1人分作るのにかなりの時間と労力を要します。
専門医などの受験の際に提出する病歴作成のトレーニングにはなりますが、時間対効果という点では明らかに過剰です。
退院サマリ
また、退院サマリは原則退院当日の提出が求められます。
市中から来た自分としては、
「早えぇ」
ってなりました。
どれだけ遅くても退院2、3日後くらいまでには提出しなければなりませんでした。
この締め切りの早さも大学病院らしいところの一つだと思います。
教授回診
病棟の入院患者を教授と回診していきます。
担当医は担当患者についてプレゼンをします。
これについては、大学病院での勤務経験がない方でも、学生実習などでご経験あると思いますのでご存知だと思います。
ちなみに、教授によると思いますが、学生への指導がヒートアップすることも多く、その場合は回診にかかる時間も長くなります。
また、学生はフルプレゼンをしますし、慣れていない研修医などはプレゼンが端的でないこともあり、回診は長い時で2-3時間ありました。長ぇよ。
なお、僕が所属していた科では、教授回診の時は教授以外の上のドクターは参加していなかったので、白い巨塔感は全然ありませんでした。
学生の指導
大学病院では、教育も一つの重要な業務と位置付けられており、学生や研修医の指導にも何らかの形で携わることになります。
学生のカンファレンスや回診用のプレゼンの準備を手伝ったり、専門的なレクチャーを行います。
臨床もやりつつですので、
「教えるのが好きだ!雫!大好きだ!(by 天沢聖司)」という人以外にとっては結構大変だと思います。
大学病院での外来業務
外来はいつから担当する?
専門外来に関しては、
後期研修が終わってから担当するのが一般的かと思います。
さすが大学、守られてます。良くも悪くも。
どんな患者さんが多い?
これは病棟の症例のところでも述べましたが、
- 近医では診断がつかない例
- 専門医による診療が必要な例
- 設備の整った施設での精査が必要な例
- 前医での治療が奏功しなかった例
- 再発を繰り返している例
などが多いです。
大学病院はいわば最後の砦みたいなところがあるので、責任感や緊張感がありますね。
患者数は?
外来患者数に関しては、地域や科の特性、科のマンパワー、ドクターの力量などによると思うので一概には言えませんが、
患者さんの数の多いドクターの外来では、
2時間待ちなどもざらに発生していました。
映画一本見れますね。
大学病院での勤務時間は?
平日
勤務時間については、科や個人差が大きいところではあると思いますが、私や周囲の医師の経験を基にお話したいと思います。
朝は8:30頃から、純粋な業務を終えるのは19-21時頃のことが多かったです。
もちろん、忙しい時やカンファ前など、もっと遅くなることは多々ありました。
また、病状説明が夜に行われることもよくありました。
仕事なのでその時間にしか行けないです
というご家族は結構いらっしゃいますが、
無数の言葉を飲み込んで病状説明をしていました。
純粋な業務以外にも文献を調べたり、論文を書いたり、などしていると帰るのはさらに遅くなります。
土日祝
土日祝日もなんだかんだで出勤が必要なことが多かったので、
完全に病院に行かない休日は週1回あるかないか、というくらいでした。
週7出勤、とかもザラにありました。
今思えば、地獄だお。
残業時間
一ヶ月の残業時間は、月にもよりますが、
だいたい60-100時間くらいでした。
毎月これだけの時間あったら何だってできるっちゅうねん。ギターでも練習したらエリック・クラプトン超えられるっちゅうねん。(自信過剰)
これ結構残業してますよね…
過労死ライン超えている気が…
これは大学病院に限った話ではないかもしれませんが…
もうあんな生活には戻りたくない…
大学病院勤務医の年収は?
仕事内容以外に気になるのはやはり年収だと思います。
大学病院勤務医の年収については以下の記事で解説していますが、ちなみに、後期研修医だと平日の外勤を入れて500-600万くらいでした。
ほぼ休みなく働いて、これですからね。
同世代の市中病院勤務の医師と比べたら遥かに稼ぎは少ないです。
後期研修医のうちからそれなりに稼ぎたい人は来ちゃダメ。ゼッタイ。
大学は霞を食って生きていける人のみが来る場所です。
大学病院での当直
ここからは、気になる当直についてご紹介していきます。
当直の回数は?
当直は月1-2回でした。
大学病院は医師の数が多いので、当直の回数としてはそこまで多くはない傾向にあるようです。
当直の内容は?寝れる?
これは大学病院でなくても同じだと思いますが、所属病棟で何かあった時や、自分の科の患者さん(入院中、外来問わず)に何かあった時に対応します。
落ち着いていればほぼコールなく朝を迎えることもあります。
たまに忙しくなることもありましたが、私の場合はどちらかといえばあまり呼ばれないことの方が多かったです。
外勤は?週何コマ?
私の場合、医局から正式に許可されている平日の外勤は、
後期研修医の時は週1コマ、それ以降は週2コマでした。
これだけでは足りず、土日にバイトしに行っているドクターも多かったですよ。
まあ、土日も病棟があるかもしれないので、バイト入れづらいんですけどね。
外勤から帰ってきてすぐ病棟業務に戻るので、体力が必要です。
大学病院の臨床医はしんどいか?
もちろん所属する医局や科などによるとは思いますが、個人的にはしんどいと思います。
単純にしんどい、というより無駄にしんどい感じです。ダルい業務が多すぎる。
+αは一切求めず、全て最低限の仕事ぶりでいいんだ!早く帰ってゲームするお!!
と強い覚悟を持って割り切っていける人はそうでもないかもしれませんが、
大学病院にいるようなドクターは、
- 専門医が欲しい
- 専門性を深めたい
- 経験を積みたい
- 論文も書きたい
- 研究を頑張りたい
など目的意識や向上心のある方がどちらかというと多いと思いますので、
ハードワークになりやすいと思います。
くそ…
やりがい搾取が成立しやすい下地があるってことか…
これが、お前らのやり方かーっ!!(©️おかずクラブ様)
大学は、柔軟に、あるいはスピード感を持って動くことが難しい現場なので、負担やストレスは大きいと思います。
大学病院の勤務医の大変さについては、以下の記事で詳しく解説しています。
最後に
本記事では、大学病院の臨床医の仕事内容や勤務時間について、
独断と偏見と乙女心を交えつつ、
概説してきました。
本記事では、極力大学病院のイケてないところはあまりプレゼンしないように努めてきましたが、それでも、
「大学病院には行きたくないな…」
ってなった方が多いんじゃないでしょうか。
もちろん、僕や僕の周囲のドクターの体験をもとにお話していますので、皆様に必ずしもあてはまらないこともあるかもしれませんが、大体の傾向としては、どこもあんまり変わらないと思います。
「既に大学にいるけど脱出したい」
「大学に行こうと思ってたけどやっぱり辞めようかな」
「シチリア島でマフィアになりたい」
「キリンさんが好きです。でもゾウさんの方がもぉっっと好きです」
などと思った方は、真剣に大学以外の選択肢を模索された方がいいと思います。
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